映画櫻の園は日本アカデミー賞新人俳優賞!

映画、櫻の園は中原俊監督より、2度にわたり映画化されています。1990年度のものと、2008年度のもの、どちらも、日本映画界の優れた作品や出演者、制作人などに贈られる日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞しています。

1990年度の櫻の園について

まず、1990年度版の映画は、第14回の日本アカデミー賞において、作品賞、監督賞、脚本賞、新人俳優賞と全部で4つの部門にノミネートされていました。新人俳優賞にノミネートされたのは、本作品で志水由布子役を演じた中島ひろ子さんです。中島さんが演じた由布子は、大切な演目を上演する当日に、パーマをかけて皆の前に姿をあらわすと言う演劇部の部長です。

責任感が強く、しっかり者、それ故、周囲の目を気にして自分を表に出すことができなかった少女の葛藤や、第一歩を踏み出した様子などを、初々しく、繊細に演じきったことが評価された形です。惜しくも作品賞などでは、最優秀賞の受賞を逃した本作ですが、中島さんをはじめとしたキャスト陣の演技力、作品としての丁寧な作りが評価され、興行的にも大成功をおさめ、第64回のキネマ旬報のベストワン作品に選ばれています。

2008年度の櫻の園について

一方、2008年度版の映画では、第32回の日本アカデミー賞において、主演の福田沙紀さんが新人俳優賞を受賞しています。しかし、同じ櫻の園でも、1990年度のものと2008年のものとはストーリーからして異なっています。そのため、福田さんが演じた役も、演劇部の部長でも、部員でもありません。結城桃と言う転校生で、上演が禁止されている演目「桜の園」の上演復活を目指して、仲間たちと奔走すると言う少女の役です。ですからこちらは、青春ガールズムービーとしての色合いが強かったため、福田さんの元気いっぱいな演技が評価されたと言うことができます。

このように、新人俳優賞を受賞したふたりの俳優を比較するだけでも、同じ櫻の園でも、ずいぶんと作品としての雰囲気、色合いが異なるものだと理解することができます。そしてそれは、いわば主役を演じたふたりだけに限った話ではなく、演劇部の部員と言う主要キャストについても言えることです。

1990年度版は、つみきみほさんや白石靖代さんと言った、その当時、まだまだ駆け出しだった若手女優がオーデションで選出され、多くキャスティングされています。一方2008年度の方は、その当時でも既にテレビで活躍し、ある程度の知名度を得ていた杏さんやAKB48の大島優子さん、また脇役には米倉涼子さん、上戸彩さんなどのそうそうたるメンバーが名を連ねていました。

ですから、新人俳優賞を受賞した中島さん、福田さんの演技は勿論のこと、その他のキャストの演技も見ものであり、それらがどのように作品としての違いに影響を及ぼしているかと言うことを比較してみるのも、櫻の園を鑑賞するひとつの観方と言えます。