映画櫻の園の原作

映画櫻の園は、1990年と2008年の2度にわたって映画化されたガールズムービーの金字塔です。原作となった櫻の園は、1985~1986年に月刊少女雑誌「LaLa」に連載されていました。20年以上の時を経ても色褪せることのない原作と作者の魅力に迫ります。

漫画櫻の園はどんなストーリー?

原作は、桜の季語を冠した「花冷え」「花紅」「花酔い」「花嵐」の全4章からなるオムニバス形式の作品です。桜咲く丘の上にある桜華学園に通う4人の女子高生たちが、演劇という共通点によって繋がれ、すれ違い、交差する様子を丁寧な視点からつぶさに見つめ、心の動きをありのままにとらえています。

映画櫻の園1990年版は、チェーホフの「桜の園」開演前2時間のあいだに起こった出来事、2008年版では上演に至るまでの部員たちの奮闘が清々しく描き出されています。どちらも少女たちの心情を淡くリアルに切り取った青春群像劇の形をとっていますが、原作ではさらに、女性作家ならではの丁寧で細やかな表現方法を堪能することができるでしょう。

今まさに青春を謳歌している若者の共感を呼ぶだけでなく、大人の女性たちに切ない思春期を思い出させる傑作、ずっと心に留めておきたい大切な青春の記録として、世代を超えて読み継がれています。

作者の吉田秋生とは?

吉田秋生(よしだあきみ)は、東京都出身の女性漫画家です。天才的なセンスをいかんなく発揮し、1983年と2001年の2度にわたり小学館漫画賞を受賞するなど、はやくから頭角を現しています。

弱冠20歳のときに発表したカリフォルニア物語では、アメリカを舞台に17歳の多感な少年を巧みに描き、鮮烈なストーリーが絶賛され一躍脚光を浴びました。同性愛・戦争・人種問題・ドラッグなど、社会問題やタブーに対しても、しなやかに踏み込む感性の鋭さと、ガラスのようにデリケートな独自の世界観は愛好家をうならせ、熱烈なファンを獲得しており、唯一無二の存在として高い評価を得ています。自在な表現で幅広い作風をこなすことから、舞台化・映画化された作品は多数、2013年にはマンガ大賞に海街diaryが選出されました。

この物語では、出会いと別れ、友情と恋の悩み、時代がどんなに移り変わっても決して変わることのない10代の少女特有の甘酸っぱい気持ちを余すところなく描写しています。大人の女性にこそ読んで欲しい、吉田秋生にしか表現できない心の様相がそこにはあります。